「空白の場所から始める」
- connect CI
- 2月22日
- 読了時間: 3分
更新日:3月5日
Steve Paxtonが書いた「The Initiation of Contact Improvisation for Me」(私にとってのコンタクト・インプロビゼーションの始まり)を完璧ではありませんが、訳してみました。原文は Contact Quarterly 誌をご覧ください。
私はパクストンに直接お会いする機会はありませんでしたが、彼の言葉には何度も心を動かされてきました。
彼が亡くなってから、まもなく一年。
この機会に、彼の残した思想や実践に改めて触れたいと思い、この文章を紹介します。
私にとってのコンタクト・インプロビゼーションの始まり
ダグラス・ダンと私は、ニューヨークのラ・ママで行われたグランドユニオンの公演中に出会いました。年は定かではありませんが、1972年以前のことです。「出会い」という言葉は、グランドユニオンの公演という即興の混沌の中で生まれたデュエットを表すのにふさわしいと思います。
私たちはお互いを追いかけていたわけでもなく、会う約束をしていたわけでもなく、デュエットで頻繁に一緒にワークをしていたわけでもありません。それでも、そうした状況で他の誰かと二人きりになったとき、ただ背を向けて立ち去るのは無作法に思えました。私たちは互いに近づき、触れ合い、そして待ちました。(注: その触れ合いは、ある種のボーナスのようなものでした。距離を保ったままでもデュエットは成立していたでしょう。)
その触れ合いは、いくつかのシンプルなことを伝えていました。「こんにちは」と「あなたからの次のメッセージを待っています」ということです。
その間(ま)は、少し微笑みを浮かべながら「どうぞ、あなたから」と言っているようでした。
時が流れていたので、ダンスは始まっていました。しばらくの間、期待に満ちた状態のまま進んでいましたが、そのうちにどちらかがぐらつきました。おそらく体重の移動や、触れ合いの中でのわずかな揺らぎだったのでしょう。それが引き金となり、均衡が崩れたのです。
それは、一方の変化が、もう一方にメッセージとして受け取られる瞬間でした。その後に続くものは、今では何万人もの人々にとっておなじみのものとなりましたが、すべての始まりは、あの最初の瞬間だったのです。それは、とても抽象的でありながら、親密な感覚でした。ダグは完璧な紳士でした。彼の繊細な間に、私が敬意を表されていると感じました。そして、私も同じように彼に敬意を示そうとしました。
もし人々から「コンタクト・インプロビゼーションはどうやるのですか?」と聞かれたら、私はただ「smallから(小さく)始めてみて」や「small(小さなことを)を、長い時間をかけて始めてみて」と答えていました。しかし、この50年間を経て、今になってこう言うべきだったと思います。
small(小さなこと)を超えて、何のメッセージもない空白の場所へと進んでください。そこから始めてみましょう。small(その小さなこと)が、これから訪れる喜びの最初のひとつとして受け入れてください。
その空白に生じた最初の微細な揺らぎを、次の瞬間の焦点として受け入れるのです。このダンスは、あなたやパートナーについてのダンスではありません。それは、その動きそのものについてのダンスなのです。
2022年元旦。スティーブ・パクストンは、窓辺のテーブルでダンスについて考え、文章を書いています。アメリカ・バーモント州の農場にて。
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